超雑貨好きの奥様の秘密は〇〇だった!

私が引越し業者でエプロンサービス(梱包作業)のアルバイトをしたときのことです。

その日は賃貸マンションの住居すべての梱包というお仕事で、エプロンサービス三人での作業でした。築30年近いかなと言う感じの、少し古い建物でした。玄関ドアも鉄製で、オートロックもついていません。

その玄関まわりがまず、とても可愛らしかったのです。玄関ドアの横に、縦にアルミでできた格子のある窓があるのですが、その格子には、本物そっくりのイミテーションのアイビーが絡んでいます。玄関ドアにはマグネットで取り付けたフックに「ウェルカム」の板。通常表札にする場所にも、家族三人の名前を黒い金属に彫り込んだような、とても可愛いオリジナルの表札がかかっていました。

お客様に開けてもらって玄関に入ると、おそらく以前は靴箱があったと思われる、入って左側のスペースに、はしごのような木製のシューズラックがかかっていて、可愛いお子様の靴がまるでディスプレイのように収納されていました。大人の靴は見当たらず、大人用のオシャレなサンダルが一足あるだけです。

突き当たりのリビングへ行くまでの廊下も、両脇には家族写真をコラージュした額縁やイラストの額縁などをオシャレに飾ってありました。

リビングはおそらくリフォームしたのでしょう、広くスペースがとられていて、南フランスっぽい白っぽい家具が置かれ、あまり生活感がなくてまるで家庭的なカフェみたいでした。私たちが「うわあ、オシャレですねえ」「これ可愛い!」などと言うのを奥様はにこにこしながら聞いていて、「荷物が多くて大変だと思います。よろしくお願いいたします」と挨拶してくれました。

感じのいい人だなと安心して作業をはじめました、が…。奥様は雑貨がとても好きなだけあって、梱包にはとても細かい人でした。玄関の靴を見ていたので「お子様がいらっしゃるんですね」と尋ねると「そうなんです。まだ小さくて邪魔なので、今、主人に娘を連れて、出かけてもらったところです」とのこと。「おいくつですか?」「4歳です。年中さんです」と言うのですが、リビングには、お子様のオモチャがほとんどありません。インテリアのように飾られた、木製のオモチャがふたつあるだけで、あとは棚の中にクレヨンと画用紙など、お絵かき道具があるくらいです。

幼稚園児くらいのお子様がいるご家庭は、たいていアンパンマンやらなんとかレンジャーやらなんとかライダーの、いろいろなオモチャがたくさんあるのが普通なので、このお母様は、インテリア雑貨にもこだわっているけれど、お子様のオモチャにも、安っぽいモノは与えない方針なのだなあと、感心しました。

それはまあ、良い面なのですが、この家の大変だったところは、意外なところに意外なモノが収納されていることでした。例えばキッチン。リフォームの際に取り付けたと思われる、白木の棚に、籐かごがあり、その中にはキッチンで使うものや、食品のストックだけでなく、シーズンオフの衣類小物(マフラーと手袋など)があったりします。

リビングにも棚があり、オシャレな箱が並んでいるのですが、それはなんと、ご夫婦の靴でした。玄関に収納スペースをつくらず、ディスプレイのようにお子様のくつだけを収納し、大人の靴はリビングへ片付けていたのです。

こんなふうに片付け上手の人というのは、押し入れやクロゼットから、これでもかというほど、モノが出てくるものなのです。あっという間に段ボール箱が積み上げられ、私たちも動きにくくなってきました。雑貨は、奥様が目を光らせているので、壊れないようにきちんと梱包するため、余計に段ボール箱の数が増えてしまうのです。

危ないので、できるだけ積み上げたくはないのですが、仕方ないので、多少は積み上げ、通常は最後に、シャンプーや洗面器などをささっとビニール袋に入れて上を開けた箱にいれるお風呂場を片付けて、その中にも、段ボール箱を詰めていきました。

すっきりオシャレに生活するというのは憧れるけれども、大変なことだなあと、帰りながらエプロンサービス三人で話し合いました。